たいへん暑いなかご来場くださりありがとうございました。
そのくらいはマイクを借りてお伝えするべきことでした。
恥を重ねてしまい情けなく思います。
気持ちを伝えること、人前が苦手、まとまりのない話を長々と語ってしまいそうでこわかったのです。
素晴らしい話の後に耳を汚したくもなかった。
人形の制作期間についてよく質問を受けました。
私は早いほうでだいたい6ヶ月かけています。
富姫さまは約4ヶ月で制作しました。
お召し物を依頼できたこと本当に助かりました。
木の粉、石の粉の粘土を混ぜてこねて造形し、乾燥させ磨きあげ、胡粉という貝殻を粉にしたもので塗装し、パステルでお化粧などをしています。まつ毛は1番最後。
髪はうなじからつむじへ少しずつ貼りつけていきます。どんな髪型になるか毛の流れを考えながら貼ります。
髪は合繊でした。人形によっては人毛を使っています。
髪が伸びるとか逸話のあるお人形は、昔のカツラの作り方は地面に落ちている髪の毛を一本一本拾いあげたり、死人から抜いていたりで、毛根の処理がされていないため伸びていたなんて言われています。
富姫さまの髪型、髪結いとなるとある程度長さが必要でした。長さを求めての合繊 3色ほどが混ざった灰色の髪。
天守物語
白鷺城天守閣に居られる富姫さまー
制作するなか考えたこと
・あやかしの姫
人間ではない人間ではない、あなたは人間ではないと念じ念じ
・既婚者で亀姫さまを可愛がっている
あやかしに年齢なんて いけませんね
・灯りを渡す 一目惚れをしたその眼差し
私など見てはいないあなたが見ているのは図書さま 目があわないように制作
目があいましたと伝えてくださるお客さまが何人もいらっしゃいました。じつはこういう話はよくあります。富姫さまがあなたに何か思ったのかもしれません。私はもう目が合わないので羨ましいなと思って聞いていました。
・めくらになってしまうこと
図書さまを 愛しいヒトを求める指先
正座ができるように制作していたり関節球の取り付け方だったり、お着物が美しく見えるように制作しました。
泉鏡花作品が好きです。私の普段の作風とはまったく違う幻想世界。
唯一近しいのではと思ったのは『湿度』でした。金沢だからかな
私が鏡花世界を表現するのは無理だと思いながらも戸丸さんに声をかけていただいて、生意気にも鏡花の生誕をお祝いしたくなりました。泣くほど
芝居で声で絵で人形で着物で、表現者それぞれの天守物語 富姫さま
朗読中、少しでも人形に視線を向けてくださっていたのなら制作者は幸せです
(ひとりの鏡花好きの感想ですが幸せでした。
富姫さまは粘土です。水につけたら溶けてなくなってしまうし100年残るとは思えません。
250年という歴史ある獅子頭さまのすぐ側に展示できるだなんて
鏡花を知るきっかけである波津先生の作品と同じ空間にいるだなんて
加納さんの気高い富姫さま
押田さんの端正な図書さま
ヴィオラ・オルガンの音色、鏡花にぴったりでした
気配がこわいほど
余韻に浸ると泣きそうになります 舌を噛んで・・が強く残っています
朗読ライブでこんなにも素晴らしいのに生の舞台だったら…と……見たいな)
鏡花のお祝いだから絶対にうさぎ作るんだい!時間のないなか3羽は頑張ったと思います。
この子たちはおさわりどうぞと展示しました。
粘土や球体関節のしくみの説明ができました。なでなでしてくださった皆さまありがとうございました。
なんでウサギ?というご質問もありました。
向かい干支とは、自分の生まれた年にの反対に当たる干支のこと。 向かい干支を大切にし、身辺にその柄をあしらったものを持つようにすると幸福が訪れるとする俗信が江戸時代からあったそうです。
鏡花は酉年で向かい干支であるうさぎを沢山蒐集しています。泉鏡花記念館にいっぱいいます
この朗読ライブではじめて人形にふれた方にむけて少し視点を変えて書いてみました、興味をもっていただけてたら嬉しいです。
私の展示作品について質問などもあればコメントをくださいませ。
普段は制作記録・展示会のお知らせばかり書いています。
※粘土人形の※切断画像が含まれます。大丈夫な方は制作過程の面白さもぜひご覧ください。
3月から必死に向き合ってきた富姫さまとついにお別れ
またどこかで展示できますように
次の人形たちの制作がんばります。
ご来場くださった皆さま関わってくださった皆さまありがとうございました。
この経験を生涯大切にします。